カインズでは、地域やくらしにおけるさまざまな課題を「くみまち15の共創価値領域」として分類し、それらを地域のステークホルダーと共に創る「3つの共創価値」として整理しています。そのうちの一つに「地域産業の振興や教育・子育てなど地域需要を創造し、くらしの課題を解決することで日常を“楽しく”する領域」に属する「教育・子育て」があります。
その「教育・子育て」を象徴する取り組みが「くみまち学校」です。
「くみまち学校」ではカインズの店舗を学びの場に、店舗のメンバー(従業員)が講師を務めています。取り組みに賛同くださる企業や教育機関、自治体を共創のパートナーとして迎え、地域社会が抱える“くらしの課題”を、子供たちが自発的に解決する機会を提供しています。
今回は、取り組みに従事するカインズくみまち推進部の内山智彦さん、柳沢純江さん、石井千尋さん、講座の講師を務める青梅インター店の鳥羽由里香さん、「くみまち学校」の共創パートナーである株式会社イノベストの内藤萌さんのコメントとともに、「くみまち学校」についてお届けします。
ホームセンター 発、“生きる力をDIY”するための学校

「くみまち学校」の取り組みが本格的にスタートしたのは2022年3月のこと。カインズ 本庄早稲田店を学びの場に、本庄市と手を携えて開講した「SDGs講座」がその始まりです。以来、開講店舗も開講頻度も徐々に増やし、2025年には青梅インター店、朝霞店、浦和美園店、鶴ヶ島店、新座店、本庄早稲田店の6店舗で、計36種類の講座を予定しています。
講座の内容は様々で、「SDGs講座」のように地域はもちろん、地球の未来を見据えた講座もあれば、2025年6月に青梅インター店で開講した「日やけのウソ・ホントを知ってお肌を守ろう!」のように、自分たちの体と健康に目を向け、化学メーカーと共創した講座もあります。

内山さんの話に登場した「DIY」は、私たちカインズが大切にしている想いであり言葉です。
ホームセンターであるカインズは、何事も自らの手でつくり出す“Do It Yourself.”の精神を大切にしており、「くみまち学校」のコンセプトも「生きる力を体験(DIY)」としています。
リソースという問題に阻まれ、学校では十分に設けることのできない社会課題と向き合う時間をカインズがDIYする。それが私たちの「くみまち学校」です。
その姿勢が社会を巻き込む、権限によらないリーダーシップ
しかし、ホームセンターであるカインズは言うまでもなく、教育のプロではありません。そのため、カインズが学びの機会をDIYするには、共創パートナーが必要でした。
くみまち学校の共創パートナーになっていただいのは、「権限によらないリーダーシップ」を提唱する、早稲田大学初代LDP(リーダーシップ開発科目)統括責任者の日向野幹也教授です。そして、リーダーシップ教育の導入を進める各教育機関のサポートに従事する企業、株式会社イノベストです。


社長や部長といった役職にとらわれず、組織の一人ひとりがリーダーシップを発揮し、互いにプラスの影響を与え合う。これが「権限によらないリーダーシップ」です。地域のあらゆるステークホルダーと共創する「くみまち構想」を掲げるカインズは、社会を巻き込みながら地域発展を目指す企業。立場によらずに一人ひとりがリーダーシップを発揮する、「権限によらないリーダーシップ」と高い親和性があります。
日向野幹也教授が提唱する「権限によらないリーダーシップ」を実践するには、「目標設定と共有・率先垂範・相互支援」の3要素が不可欠です。この3要素は、自分たちは何を達成すべきなのか、目標を設定すると同時に組織全体で共有し(目標設定・共有)、個々が率先して模範を示し(率先垂範)、目標達成のために互いに助け合う(相互支援)ことを意味しています。


「くみまち学校」では、全ての講座において「目標設定と共有・率先垂範・相互支援」の考え方を取り入れ、子どもたちに「一人で抱え込まずに、他者と協力でき、他者との対話から答えを導きだせる」力を提供しています。この力を手にした子どもたちは、これから生きる中で直面するであろう課題に対しても、他者をいい意味で巻き込む「権限によらないリーダーシップ」が自然と発揮できるようになり、課題を解決していくことができます。 まさに、コンセプトでもある「生きる(ために必要な)力を(講座を通して)体験」してもらえればと思います。
不可欠な3要素。そして、“呼び名”には自己肯定感を上げる意味が…

「くみまち学校」の特徴は、物理的にも心理的にも身近で馴染みやすいものとして、カインズの店舗を学びの場にし、店舗のメンバーが講師を務めていること。教育のプロであるイノベストのアドバイスを受けながら、講座のテーマも講座の内容も、すべてをカインズのメンバーがDIYしています。
そして、「くみまち学校」では、学校では教えてくれない「生きる力」を育むことを目指しています。それは、これからの社会で子どもたちが自分らしく、たくましく生きていくために欠かせない力です。
「生きる力」を育むため、講座の冒頭には「何を、何のために学ぶのか」を説明し、子どもたちの緊張をほぐすためのアイスブレイクも欠かしません。講師と子どもも、子どもたち同士も互いに呼びかけられるよう、胸に自分の名前を書いたワッペンを貼るのが「くみまち学校」のルールです。


自分はどう呼ばれたいのか、子どもたち自身が希望する呼び方をワッペンに書いてもらっています。自分の名前をきちんと呼んでもらえる。それだけで相手に認められた感じがして、自己肯定感が高まりますよね。 また、それによって、初めて同士でも声をかけやすくなったり、会話のきっかけになったり、お互いを尊重する雰囲気も生まれるほか、自然と多様な呼ばれ方や個人の気持ちに配慮する姿勢も育まれます。



子どもたち自身が手や体を動かす体験だけでなく、講師の話に耳を傾ける座学も行います。講座の終わりには「今日学んだことと今後への生かし方」を紙にまとめ、発表する時間を設けていることも全講座で行っています。
まさに、体験で得た実感、座学による知識の両方を通じて、子どもたちが自分の意見を考え、伝えられるようになる—そんな「生きる力」の土台づくりを目指した形になっています。

体験だけのほうが、子どもは楽しいと感じるかもしれません。けれど、「くみまち学校」の目的は「学校では教えてくれない生きる力」を得ることです。そのために、子どもたちにとって単なる楽しいだけ、実感だけで終わるような講座ではなく、その本質まで理解できるよう、体験と座学を偏りなく入れた講座としています。加えて、自分の考えをみんなの前で発表する時間を設けることで、権限によらないリーダーシップに必要な「率先垂範」を身に付けることもできる講座になっているのです。

教える立場の講師もまた、子どもたちの声にしっかりと耳を傾け、発言を促す際には周りの子どもたちと意見を交わし合う時間も設けます。発言者の目を見て話を聞き、意見を交わし合うときには相手の言葉をさえぎらない。講師自身がこの姿勢を示し、ルールとして事前に説明することで、互いを尊重する「相互支援」も身につくのです。
“あの店舗にいつもいるメンバー”が講師を務める意義
「くみまち学校」の講師として実際に子どもたちと触れ合うのは、各店舗のメンバー3名前後。そして、カインズの本部からは、石井さんが授業づくりにも携わりながら、毎回の講座のテーマを各店舗へ伝える役割を担っています。「くみまち学校」の共創パートナーであるイノベストの知見も借りながら、講座ごとに重要となるポイントを伝え、講座の前にはリハーサルを欠かしませんし、終了後には毎回、各講座を振り返るフィードバックの時間を設けています。


子ども一人ひとりに個性があるので、同じ内容の講座であっても参加くださるお子さんが違えば、授業の広がりが変わります。前回は響いたことが響かなかったり、その逆だったり、時には子どもには難しいテーマを扱ってしまい、反省することもあります。毎回の講座から学び、次の講座に生かす。その繰り返しです。
講師を務める店舗メンバーもまた、試行錯誤を繰り返し、常に講座のブラッシュアップを目指しています。


講座の内容そのものは本部の柳沢さん、石井さんが考案しますが、冒頭のアイスブレイクや授業の合間に挟むちょっとしたおしゃべりは、私たち店舗メンバーが考えています。子どもたちを飽きさせず、積極的に学ぶ姿勢を育むにはどうしたらいいのか。参加くださる子どもたち一人ひとりの様子や表情を見ながら、次回の講座に生かすようにしています。
子どもたち一人ひとりの様子や表情を見る——。鳥羽さんのこの言葉に、カインズの店舗メンバーが「くみまち学校」の講師を務めることの意味が詰まっています。
地域の人たちとカインズをつなぐのは、本部ではなく、店舗業務に従事するメンバーです。地域に根ざした店舗運営を大事にするカインズだからこそ、「くみまち学校」でも子どもたちとの接点を大切にしています。店舗メンバーが講師を務めたなら、「カインズの講座に行けば、あの講師に会える!」という繋がりを育めるのです。



「くみまち学校」では正社員だけでなく、異動のないパート勤務のメンバーが講師を務めることも珍しくなく、「○○ちゃん、また来たよ!」と講師の胸のワッペンに書かれた名前を呼び、二度、三度と講座に足を運んでくれる子どもも多くいます。

先日、「くみまち学校」の講師を務めていたメンバーの一人が退職しました。講座でもお別れのあいさつをしてもらったのですが、子どもからも保護者からも「寂しい!」「一緒に写真を撮りましょう!」という声が上がり、私まで感動してしまいました。この関係がまさに、店舗メンバーが講師を務める意義。改めて、そう感じました。
子どもの言葉にハッとさせられることが多々あるから

「くみまち学校」の取り組みが本格的にスタートしてから3年以上。育まれているのは地域の子どもや保護者との繋がりだけでなく、共創パートナーも同様です。

各講座で共創しているのは、主にカインズのお取引様です。「くみまち学校」の開始当初はこちらから協力のお願いをしていましたが、最近では先方からお声掛けいただくケースも増え、2025年7月現在、カインズの「くみまち学校」を共創くださるパートナー企業は全17社。このお力添えがあるからこそ、私たちは多種多様な講座をお届けできます。

他企業と共創するからこその、講座の多種多様さ。これは子どもたちにも好影響をもたらします。講座のテーマが多種多様であればこそ、自分が得意なコトに出合えるチャンスも増え、子どもの自己肯定感が育めます。そして、自分に自信を持つことは、積極的にリーダーシップを発揮するにも大切な要素です。
「くみまち学校」に参加くださる皆さんとの繋がりも、共創パートナーとの繋がりも、カインズにとっての大きな財産。この財産を糧に今後も取り組みを推進し、より多くの子どもたちに「生きる力体験(DIY)」する楽しさを伝えていきます。


おこがましい発言かもしれませんが、「くみまち学校」を通じて私たちが目指すのは、地域の未来をより明るくすることです。子どもの感性は鋭く、子どもの何気ない一言が大人をハッとさせることが多々あります。そんな時、私は、地域の未来を変えるのは子どもなのだと実感させられます。その未来を担う子どもたちに向け、私たちカインズは多種多様な学びの場を提供し続けます。
内山さんの言葉どおり、これからの未来を担うのは、これから大人になる子どもたち。だからこそ、地域発展を目指すカインズは「教育・子育て」を一つの重要課題として掲げ、そのための取り組みとして「くみまち学校」を開講し、お届けしているのです。
【ニュースリリース】
楽しみながら社会課題を学び、交流を通じてリーダーシップを育む、小学4~6年生向けの「くみまち学校」を開催 | ホームセンターのCAINZ 公式企業サイト

近年、公的教育機関ではリソースの問題がたびたび取り上げられます。先生は皆、子どもたちのために一生懸命です。しかし、時間も人員も足りず、じっくり時間をかけては教えられないことがあると聞きました。その一つが社会課題です。それなら、社会課題を学び向き合う機会を私たちカインズがDIYすればいいじゃないかと考えたのが「くみまち学校」の原点です。