2023年10月、カインズと相模原市が手を取り合い、「人材交流派遣」という公民連携の新たな取り組みをスタートしました。 地域を本気で変えたいと願う“想い”が出会い、それによって生まれる“行動”がつながるものです。この取り組みにはどういった意義があって、何がもたらされるのか??また、人材交流派遣を通して、派遣された面々はどういった経験をしてきたのか。
カインズから相模原市へ、相模原市からカインズへ派遣された三者で語り合いました。
プロフィール
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相模原市役所
出向時:カインズ コーポレートサポート本部 CSV推進部 防災・災害対応グループ
(現:くみまち推進統括部 CSV推進部 防災・災害対応グループ)
滝田 嵩さん
相模原市とカインズによる「人材交流派遣」の1期生として2024年4月よりカインズのCSV推進部、くみまちプロジェクト 防災グループへ出向。能登半島地震(2024年)の復興支援や各自治体の防災イベントなどに携わる。2025年7月より相模原市に帰任し、環境経済局に配属。
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相模原市役所
出向時:カインズ コーポレートサポート本部 CSV推進部 環境グループ
(現:くみまち推進統括部 CSV推進部 環境グループ)
常盤 陽さん
相模原市とカインズによる「人材交流派遣」の2期生として2025年4月から1年間、カインズのCSV推進部 くみまちプロジェクト 環境グループへ出向。店舗研修を経て、カインズ 亀岡店での期日前投票所設置や各店舗への園芸用土回収スポットの拡充などに従事。
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カインズ 第2開発部 南神奈川・静岡エリア 課長
出向時:相模原市役所 環境経済局 経済部 創業支援・企業誘致推進課
朝比奈 裕貴
相模原市とカインズによる「人材交流派遣」の1期生として2023年10月より相模原市の環境経済局へ出向。同市内への企業誘致や創業支援、イノベーション創出事業や起業家育成を担当。2024年2月にカインズに帰任し、南神奈川・静岡エリアの新規出店開拓に従事。
あなたにとって「人材交流派遣」とは
カインズが「人材交流派遣」として手を携えた神奈川県相模原市。神奈川県北部に位置し、人口は横浜市、川崎市に次ぐ県内3位の政令指定都市です。目下、開発が進むリニア中央新幹線の停車駅が開業予定であることでも注目を集めています。
相模原市とカインズによる「人材交流派遣」の第1号は、2023年10月から2024年2月までの5カ月間、新規店舗の出店開拓に従事するカインズの開発部から相模原市役所の環境経済局へ出向した朝比奈裕貴さん。
次いで、2024年4月から2025年6月まで、相模原市役所の経営監理課からカインズのCSV推進部に滝田嵩さんが出向。2025年4月からは同じく相模原市役所の経営監理課からカインズのCSV推進部に常盤陽さんが出向しています。
果たして、それぞれにとっての「人材交流派遣」とはどういったものなのでしょうか?

滝田:相模原市では以前から、民間企業との交流派遣を積極的に行っています。ただし、小売業への長期派遣事例はカインズが初めて。カインズは全国の自治体を始めとした地域の皆さんと協力し、地域の皆さんが主役の、未来の「まちのくらし」を共創する「くみまち構想」を推進する企業です。この考え方は、自治体のビジョンや価値観に近しいものがあり、本出向を通して得た知見や経験を今後の自治体業務でも生かすことができます。「人材交流派遣」は、双方に新しい考え方をもたらすものと考えています。
朝比奈:カインズとしては、自治体への出向は私が第1号ですね。市民の皆様の生活に欠かせない商品を取り扱うカインズは、地域インフラとしての役割を担っていますが、各店舗がインフラとしてしっかりと機能するには地域との連携が不可欠です。だからこそ、地域、自治体の現場に実際に入り込み、さらに連携強化していくことが必要です。「人材交流派遣」はそういった自治体を含む地域と企業との連携を促進する、トリガー的な役割も果たしているものだと思います。

常盤:地域と企業との連携は大事なことですよね。例えば、私たち自治体が地域のCO2排出量を減らすための施策を打ち出しても、その施策に賛同し、推進してくださる企業がいなくては実現できません。自治体としては企業側がどのような思いで、どういったふうに事業を進めていくのか現状を知る必要があります。「人材交流派遣」にはそういった「相互理解」の意味合いもあるのだと思います。
公民それぞれの現場を知るからこその、リアルな実感
すでに交流派遣を終えた相模原市の滝田さんとカインズの朝比奈さん、そして新たにカインズへ出向となった常盤さん。3人が感じた「人材交流派遣」の経験を聞きました。

常盤:まだ、私は入社して数カ月というところなのですが、店舗研修の時点ですごいカルチャーショックがありましたね。正社員のメンバーのみならず、パートメンバーの方も含めて、年齢や役職に捉われず、皆で協力して業務に臨んでいる姿が印象に残っています。
朝比奈:おっしゃるとおり、カインズのパートメンバーの方たちは本当に心強いですよね。売上向上のための意見も積極的に伝えてくれます。
常盤:長く勤務されているパートメンバーだけでなく、若手の方も強い責任感を持ってテキパキと仕事をされ、必要があれば、自分より年上のメンバーへ指揮をする。この姿勢は自治体ではなかなか見られません。自治体の場合、部下を持つ責任ある立場になるのは早くても30代半ばです。しかし、カインズでは入社間もない20代前半のメンバーにも責任を持たせ、しっかりと売上といった形で結果を出せている。いい仕事をするのに年齢の壁は関係ないのだということや、こういった環境が若手メンバーのモチベーション向上にも繋がっているのだなと実感できました。
滝田:私は、カインズの意思決定の柔軟さやスピードの速さを実感していましたね。「くみまち防災プロジェクト」の一環として石川県・能登半島地震の復興支援や県や市など様々な自治体の防災イベントに携わっていたのですが、自分の「こうしたい」といった考えが、すぐに柔軟に受け入れられ行動に移された際に、特に実感していました。自治体の場合ですと、事前に細かなスケジュールを立てて予定通りに行動する。そのスケジュール立てについても細かに稟議を通していく、そのような流れです。一方、カインズでは大枠は定めつつも、現地での動きについては、各担当がそれぞれの「こうしたい」ということについて責任を持って柔軟に対応しています。先ほど常盤さんのお話にあった、若手のころから責任を与えられて鍛えられていることの賜物ですね。

朝比奈:たしかにカインズは、メンバー一人ひとりの「こうしたい」「やりたい」にしっかりと耳を傾ける企業ですね。一方、私は相模原市役所の環境経済局へ出向して、市内への企業誘致、創業支援、イノベーション創出事業や起業家育成のための業務に携わっていました。事細かな稟議が必要になるのは物事の経過に一点の誤りも許されないからこそであり、その緻密で丁寧な仕事の仕方は非常に勉強になったと実感しております。
滝田:その緻密さは、すべての市民を対象として、取りこぼすことなくサービスを提供する精神が根付いているからであり、そこは自治体のよいところでありますよね。自治体においては、例えば困っている人を困っていない状態にする、マイナスをゼロにする業務の方が多いです。一方カインズは、ゼロからイチを生み出すことが主な仕事。社会において果たすべき役割の違いではありますが、ゼロイチの仕事のやり甲斐も実感していました。

常盤:私もゼロからイチを生み出す仕事―カインズ 亀岡店での参議院選挙に向けた期日前投票所を設ける取り組みに携わりました。ゼロからイチを生み出す大変さもさながら、その楽しさを今まさに実感しているところです。
「人材交流派遣」は「くみまち」へ
三者三様の仕事に従事し、それぞれに色々な経験をしてきた面々。この先「人材交流派遣」、またその経験は何をもたらすと思いますか…?

朝比奈:地域で生業をされる方や起業をお考えの方は何を課題と感じ、解決のために何を必要とされているのか。「人材交流派遣」を通じ、私は行政の視点と民間企業の視点の両方から、地域課題を見つめられるようになりました。今後はあらゆる視点から解像度高く、地域の皆様がカインズに求めていることを模索する。この姿勢は私の業務である新規出店の開拓にも、間違いなく前向きに働きます。
滝田:まさに「くみまち構想」で大事にしている「三方よし」の考え方が、朝比奈さんの話には凝縮されていますね。つまり、カインズとお客様、そして地域にとってもよい影響を与える。そんな新規出店といったところでしょうか。その視点が、「人材交流派遣」という実践を通して、身についたのですね。
新規出店後、今度は我々のような自治体をはじめとしたまちの様々な主体とともに、まちやくらしを組み上げて、一緒に「まち」を盛り上げ、発展させていきたいですね。

常盤:「人材交流派遣」は公民連携でもあり、その下地とも言えますよね。公民それぞれ単体ではできなかった領域について、それぞれが補い合うことで、今まで手付かずだった様々な社会課題を解決する。そのためには、それぞれが何をできるかについて知ること。つまり、私が最初に述べた「相互理解」が必須です。自治体の強み、得意分野は何でしょう―例えて言うなら市民全体を対象とした媒体を持っていることや信頼感でしょうか。逆に弱み、苦手分野は何でしょう―例えば事業推進のスピード感でしょうか。同様に、カインズにも強みと弱みがあり、それを理解することですね。
このように、双方のできる・できないについて実践を通して理解し合えるのが「人材交流派遣」のよいところだと思います。世の中的にもっと盛んになることで、ますます公民連携の可能性が生まれるのではないかと思います。
滝田:常盤さんの言う通り、公民連携は公民それぞれ単体ではできなかった手付かずの社会課題に対して、公と民が協力して立ち向かうものですよね。ただ、この言葉自体がここ近年流行ってきた言葉なので、公民連携は利益供与に繋がるのではないか、と不安感を抱く人もまだ多いよう感じ取っています。今後は、「人材交流派遣」を通して生まれる公民連携の芽を育て上げ、今の社会に必要なものであり利益供与ではないことを示していくとともに、よりよい「まち」とくらしを組み上げる「くみまち」の思いを胸に業務に臨んでいきたいですね。

常盤:滝田さん、いい抱負ですね。私は、将来的に相模原市を“いいまち”にしたいという漠然とした想いが常にあります。こういった想いは程度の差こそありますが、地域におけるカインズの店舗をはじめとした諸企業ほか住民や学校など、多くのまちの主体が抱いているものだと、これまでの経験からも感じてきました。
自治体単体ではできることに限りがありますが、同じ志を持つ皆様となら、それぞれ理解し合い、良いところを活かし合って、もっと“いいまち”を作っていけるはずです。「人材交流派遣」は、その理解や良いところを探る“はじめの一歩”。このまたとない派遣の機会を最大限生かして、カインズとともに相模原市を“いいまち”に組み上げていきたく考えています。
朝比奈:滝田さんのお話も、常盤さんのお話も最終的に「くみまち」に帰結しているよう感じました。私自身先に述べた通り、新規出店の観点においても、「くみまち」の視点は重要になってくるものと捉えています。カインズ側としても、「人材交流派遣」で得られた知見を起爆剤に、ますます「くみまち構想」の具体化を進めていけるものと信じております。

地域インフラの一翼を担うことを自負し、地域に根ざした店舗運営を目指すカインズにとって、公民連携の取り組みは社の重要方針の一つと言っても過言ではありません。
相模原市とは、自治体の現場を目の当たりにするため、またよりよいまちづくりに向けた企業目線の取り組みを知っていただくため、「人材交流派遣」を行ってきました。2025年5月、多様化・複雑化する地域課題に対し、互いが連携して取り組むことを目的とした「包括連携協定」を締結するに至りました。
本協定の連携事項は「人材交流派遣」にとどまらず、災害対策や高齢者・障害者支援、農業振興や地産地消の推進をはじめ、多岐にわたります。まさに多種多様な分野において公民の多角的な視点から、よりよいまちづくりを進めていきます。
【ニュースリリース】
カインズが相模原市と「包括連携協定」を締結 ~くみまち構想の実現に向けて連携をさらに強化~ | ホームセンターのCAINZ 公式企業サイト
