災害が起きたとき、避難所にはどのように物資が届くのか。断水して自宅のトイレが使えなくなったら、どうすればよいのか。
普段はなかなか考える機会のない「災害時のくらし」を、実際に防災用品を使ったり訓練に参加したりしながら体験することが、防災への備えにつながります。
2026年8月22日(土)、長野県佐久市の春日体育館で「令和8年度 佐久市総合防災訓練」が行われ、2025年3月に佐久市とカインズが締結した「災害時における防災活動協力に関する協定」に基づき、カインズ 佐久平店も防災用品の展示や実演、物資搬入訓練などに参加しました。
官民が連携して取り組んだ実践型訓練の様子を紹介します。
災害が少ない地域だからこそ、平時から「備える」
佐久市では、令和元年東日本台風などの災害を経験している一方で、日常生活の中では災害を意識する機会が多くないことから、防災を自分事として考えるきっかけづくりが課題となっていました。
そこで今回の訓練では、指定避難所である春日体育館を会場に、地域で想定される災害や避難所の運営体制・設営について学ぶとともに、防災用品を実際に見て触れながら使い方を確認できる機会を設けました。
当日は佐久市職員、自治会、消防団を含む86名が訓練に参加。そのうち16名は外国籍の参加者でした。

防災用品は「持っている」だけでなく、「使える」ことが大切
カインズのブースでは、防災セットや非常用トイレ、ランタンなどの防災用品を展示。
ブースは佐久市望月支所の職員と共同で運営し、佐久市は地域防災の視点から、カインズは防災用品の活用方法や日頃の備蓄の考え方について紹介。それぞれの専門性を活かしながら、参加者が防災をより身近に感じられるよう情報提供を行いました。
参加者は実際に商品に触れながら、防災用品の用途や使い方を確認。
なかでも特徴的だったのが、非常用トイレの実演です。
災害による断水時には、普段当たり前に使っているトイレが使えなくなる可能性があります。避難生活において衛生環境を保つためにも、トイレの備えは重要です。
訓練では、非常用トイレを設置するだけではなく、その後の処理までを含めた流れを実演。
さらに、使用後の処理方法についても、佐久市の担当者と共に参加者へ伝えました。
実際に体験することで、災害時に必要な行動をより具体的にイメージできる機会となりました。

佐久市とカインズが一緒に、避難所での物資の受け入れ体制を確認
今回は防災用品の展示に加え、物資搬入訓練も実施されました。
災害が発生時に避難所や物資集積所へ届けられた支援物資は届けば終わりではありません。到着した物資を受け取り、所定の場所へ運び、数量を確認し、配布担当者へ引き継ぐなど、さまざまな動きが必要になります。
訓練では、物資を乗せた車両の到着、物資の集積所への車両の誘導、荷下ろし、集積、配布担当者への引継ぎまでの5つの工程を実際に再現。
「誰が受け取るのか」、「どこに運ぶのか」といった実際の流れを、佐久市とカインズを含めた民間企業が共同で確認しました。
会場ではこのほか、佐久市によるペット同行避難講座やベッド、パーテーションなどの展示も実施。
外国籍の参加者を含む、さまざまな人が避難生活を送ることを想定しながら、地域全体で避難所について考える機会となりました。

体験することで、「自分にもできる」が見えてくる
訓練後のアンケートには、62件の回答が寄せられました。
そのうち約95%が「避難所への避難の流れを理解できた」と回答。搬入される物資の内容や避難者へ届けられるまでの流れのほか、個人で準備しておくべき備蓄品についても、多くの参加者が理解を深めました。
また、「今回の体験を実際の防災活動に活かせる」と回答した人が約60%、「概ね活かせる」と回答した人が約40%にのぼりました。
防災というと、「行政が行うもの」、「特別な知識が必要なもの」と感じるかもしれません。
しかし、避難所を設営する、物資を運ぶ、避難者を誘導する、配慮が必要な人を支援するなど、地域の一人ひとりが担える役割は、実はたくさんあります。
今回の訓練を通して、参加者からは、それらの役割に協力する意向が示されました。
「自分にもできることがある」と気づいたことは、地域防災力を高める大切な一歩となりました。
一度の訓練で終わらせず、日常の「備え」へ
今回の訓練を通じて、防災用品の活用方法や避難所運営への理解が深まりました。一方で、防災行政無線については約15%が「聞こえなかった」と回答しており、災害時の情報伝達に関する課題も明らかになりました。
また、参加者からは、より実践的な訓練や継続的な防災訓練を望む声も寄せられ、防災への関心の高さがうかがえました。
防災は特別なものではなく、日常の小さな「やってみる」の積み重ねです。今回の訓練を通じて、参加者は「自分にもできることがある」と実感しました。
佐久市とカインズは、今回得られた気づきや課題を活かしながら、地域の皆さんとともに防災を「知る」から「できる」へつなぎ、地域防災力の向上を目指していきます。
