カインズが「教育・子育て」領域の取り組みとして続けている「くみまち学校」。2025年7月5日(土)、この「くみまち学校」の取り組みが大きな展開を見せました。
各自治体が実施している「子ども大学」の講座にカインズの「くみまち学校」が採用され、自治体との連携のもと、講座の制作、さらには講座の進行まで担うに至ったのです。
そこで、今回は7月5日に行われた「子ども大学ほんじょう」にフォーカス。カインズが「子ども大学」に参画することになった経緯と、「子ども大学ほんじょう」の共創パートナー、参加くださった子どもや保護者の声も交えながら、講座の様子をお届けします。
公民連携により、“カリキュラムの外側”にある学びを

「くみまち学校」の講座が採用された「子ども大学」。これは主に小学校5年生から6年生の子どもたちを対象に、各自治体が実施している生涯学習の一つです。「子ども大学」は2002年、ドイツのチュービンゲン大学で始まり、ヨーロッパ各地に広まりましたが、日本で最初に「子ども大学」を実施したのは、カインズの本部が所在する埼玉県。「子ども大学かわごえ」が川越市で実施されて以降、埼玉県はこの取り組みを推進し、現在では県内各地に広がっています。
このたび「くみまち学校」の講座が採用されたのはカインズの本部がある埼玉県本庄市です。同市とは、これまでもあらゆる分野で手を携え、2024年10月には、さまざまな地域課題に連携して取り組むことを目的とした「包括連携協定」を結んでいます。

本庄市は「子ども大学」を積極的に取り組み、2025年度は全8回の「子ども大学ほんじょう」を開講予定。子どもたちの教育においても公民連携を進め、より多様な学びの場をつくり出しています。


学校では「学習指導要領」のカリキュラムに沿った授業をすることが大前提です。「子ども大学」はカリキュラムの外側にある学びの場ですが、カインズは民間企業としての豊富なネットワークを持っています。そのカインズが運営する「くみまち学校」には、より社会生活に則した視点があります。ここに大きな可能性を感じ、今回の共創に至りました。
私たち市民のために働いている消防士さん、それなのに…
カインズが取り組む「くみまち学校」のコンセプトは「生きる力を体験(DIY)」。この取り組みに賛同くださる共創パートナーと手を携え、地域社会が抱える“くらしの課題”と向き合い、学び、その課題を自発的に解決する機会を提供しています。では今回カインズが課題として捉えたこととは何だったのでしょうか?


「子ども大学ほんじょう」では、何をテーマにすべきか。原点は、とあるニュースでした。私たちのために働く消防士さんが制服姿でコンビニに入ったところ、一部の方から「けしからん!」という声が上がった、と。この意見の背景には、消防士として業務することの大変さや忙しさ、裏返せばすごさが伝えきれていないことも問題にあるのかもしれません。この問題を社会課題として捉え、講座のテーマとして取り上げることと決めました。
「くみまち学校」では、組織の一人ひとりがリーダーシップを発揮し、互いにプラスの影響を与え合う、全員発揮型のリーダーシップを志向しており、全講座に取り入れています。全員発揮型のリーダーシップを実践するには、自分たちは何を達成すべきなのかの目標を設定すると同時に、組織全体で共有する「目標設定と共有」、個々が率先して模範を示す「率先垂範」、目標達成のために互いに助け合う「相互支援」の3要素が不可欠とされています。
その3要素を盛り込んだ上で、消防士さんのすごさが伝わる講座 として「119番の先にいるヒーロー! 〜消防士と学ぶロープワーク〜」を開講する運びとなりました。
なぜロープワークを題材に選んだのか?実は、ロープワーク自体は「靴紐を結ぶ」、「ものを何かに括りつける」など、我々の生活においても身近にあります.身近にあるからこそ、その技術を巧みに使いこなす消防士さんのすごさが実感でき、加えて実生活の色々な場面でも直結して役立たせることができる―まさに「生きる力」が育める題材であると捉えたからです。
消防士の巧みなロープさばきとその速さに子どもたちから「すごい!」の大合唱!
「子ども大学ほんじょう」講座「119番の先にいるヒーロー! 〜消防士と学ぶロープワーク〜」の教室となったのは、本庄早稲田にあるカインズ本部の大ホール。
今回の講座に参加したのは36名の子どもたち。受付を済ませ、教室に到着するや、目をきらきらとさせながら席に着きます。テーブルの配置は3〜6人のグループ制。子ども同士が向かい合って座るのが特徴です。意見を交わし、協力して考えをまとめることで、相手を理解し、自分の思いを伝える——社会で生きていくために欠かせないコミュニケーションスキルを体験的に学びます。私たちは、こういった力を「生きる力」だと考えています。

講座には、“119番の先にいるヒーロー”である消防士さんたちも参加。「くみまち学校」のコンセプトである「生きる力を体験(DIY)」を実践すべく、児玉郡市広域消防本部から、災害対応の最前線に立つ8名の消防士さんにご協力いただきました。
講師を務めるのは、「くみまち学校」の運営を担当するカインズの石井さん。全員発揮型のリーダーシップに必要な要素である「目標設定と共有」のため、何を、何のために学ぶのかを、まずはしっかりと説明することからスタートします。


講師やサポートを務めるカインズメンバーの自己紹介はもちろん、グループの子どもたち同士が互いに顔を向け合い、それぞれの自己紹介も欠かしません。自己紹介の後には子どもたちの緊張をほぐすため、これも「くみまち学校」では定番のアイスブレイク。ちょっぴり難易度の高い“背面ちぎり絵”を楽しんだ子どもたちは、にこにこの笑顔!



本格的な講座の始まりは座学から。子どもたちが互いに相談しながら答えを導き出し、率先して発表する機会、つまりは「相互支援」と「率先垂範」の姿勢を育むため、クイズも交えながら消防士さんのお仕事と、市民を救うために磨かれた技術を伝えます。
なかでも「15mの高さを登りきるまでに、消防士さんはどのくらいの時間がかかる?」というクイズは大盛り上がり!ロープを巧みに使い、実際に登る姿がスクリーンに映し出されると、子どもたちは「すごい!」の大合唱でした。 正解はなんと、たったの10秒なんです。
教えに耳を傾け、友だちと助け合いながら「できた!」

講師の話にしっかりと耳を傾け、自分たちで考え、意見を発表する座学の次は屋外へ。今度は消防士さんのお話を聞き、さらには「119番の先にいるヒーロー! 〜消防士と学ぶロープワーク〜」という講座のテーマどおり、プロのロープワークを学びます。
目の前に停車した消防車の堂々とした佇まいに、子どもたちは興奮の表情を見せます。そして、消防士さんによるロープワークの実践が始まると、そのあまりの速さに目がまん丸に!
ロープワークは安全確認や高所作業、さらには1分1秒を争う災害救助の現場でも不可欠なテクニック。消防士さんは状況や目的に合わせ、「節結び」「本結び」「もやい結び」といった数種のロープワークを使い分け、それぞれの結びを一瞬にして完成させます。


見るだけではないのがカインズの「くみまち学校」です。自らの手や体を動かし、できないときには子どもたち同士が教え合う姿勢も育みます。
「子ども大学ほんじょう」でも座学と体験を偏りなく行いました。今回の体験は、消防士さんが目の前で披露してくれたロープワークです。講師の石井さんがお手本を見せたら、いざ実践! しかし、これがなかなか難しい。消防士さんのあまりの速さが、より際だちます。



難しくても、決してあきらめないことの大切さを教えるのも、教育の大事な要素。グループごとに消防士さんが講師となり、繰り返し丁寧に、ロープワークを教えてくださいました。すると次第に「できた!」の声が続々と響きます。そして、できた子はできない子に自然と教える姿が見て取れ、ここでも「相互支援」が育まれたことがわかります。
その場だけではない、今日の学びを持ち帰りできる工夫も

ロープワークが終了したら、今度は消防士さんの力を借りず、子どもたちだけで助け合いながら、おうちに持ち帰ることのできる「ロープワークのキーホルダー」を作ります。
この“お持ち帰り”も、実は「くみまち学校」から取り入れた要素。その日の学びを持ち帰ることのできる“実在の形”として残すことで、時間が経っても振り返ることができるのです。大切な学びをその場限りにすることなく、さらには家族や学校の友だちに見せたり話したりすることで、学びを共有し、広げていくことができます。



キーホルダーが完成したら、そろそろ講座も終わりの時間です。「今日学んだことと今後への生かし方」を紙にまとめ、その内容を発表する時間を設け、今回の「子ども大学ほんじょう」にも盛り込みました。「やってみた!」という経験が、自分の力を実感し、自信へと——これもまた、くみまち学校が大切にしている“生きる力”です。
実際に参加したお子様や保護者の方にお話をお聞きしてみると…?


「見えないところで、消防士さんがたくさん訓練していることを知りました。勉強したロープワークで、自分のノートを固定したいです」、「ロープワークが勉強になりました! みんなと話すと、いろいろな意見が出てくる!」というお子様の声や、「消防士さんと触れ合える機会は貴重。改めて感謝の気持ちが湧きました」という保護者の声も。
周りの子どもたちと意見を交わし合うことも、学んだことの実践も、さらには消防士さんの仕事の大変さやすごさを知り、改めて感謝することも。まさに今回の講座で伝えたかったことですね。
119番の先にいるヒーロー

講座は、二度の休憩を挟みながらトータル約2時間。子どもたちは最後まで生き生きと学びに向き合い、講座の締めくくりには今回の「子ども大学ほんじょう」の講座制作・進行を担ったカインズの代表として、「くみまち学校」の舵取り役を務める内山さんが挨拶。

皆さんの見えないところで、日々、訓練されている消防士さん。ロープワークも出動も、その速さは訓練の賜物です。訓練を重ね、24時間体制で本庄市の皆さんを守ってくれているんですね。消防士さんはまちのヒーローです。これからは消防車のサイレンが鳴ったら、「くらしを守ってくれているんだ」と感謝しましょう。
前述しましたが、今回消防士さんの仕事をテーマに設定した理由は、私たちのために危険な業務に従事されている消防士さんが、制服姿でコンビニに入ることを憚られてしまうといった解決すべき社会課題があったからでした。この課題と解決すべく向き合った本講座、参加された方々の声にもある通り、皆様よく学び、自然と消防士さんに対する感謝などが芽生え、ひいては課題解決につながる礎となる。そんな機会が提供できた講座だったと考えております。
最後に“119番の先にいるヒーロー”である消防士さんを代表して、田邊さんにお話しを伺いました。


私たち消防士は縁の下の力持ち。目立たない仕事かもしれません。しかし、消防士は人のために行動する、やり甲斐のある仕事です。今回の講座をきっかけに、町の人のために手助けのできるお子さんが増えることを願っています。消防士の仕事に興味を持っていただけたのなら、ぜひ将来は一緒に仕事をしたいな、と思っております。
くみまち学校では、今ある社会課題に触れ、理解を深め、周囲と意見を交わし合いながら答えを導き出すことはもとより、将来の夢を見つける第一歩への機会も創出しています。今回の「子ども大学ほんじょう」を通じ、私たちカインズの「くみまち学校」に興味を持っていただいた方は、ぜひ本サイト「開催予定のイベント」や「くみまち学校」の他記事を見てみてはいかがでしょうか?
そして、「くみまち学校」はまだまだこれからも色々な内容の講座を展開予定!ぜひ皆様からのご参加お待ちしております。それでは、次の「くみまち学校」でまた会いましょう!

本庄市との「包括連携協定」も後押しになり、カインズは「子ども大学ほんじょう」の実行委員会の一員になりました。子どもたちにどんな学びを提供すべきか一緒に考えてきましたが、カインズにはそもそも2022年から続く「くみまち学校」があります。この実績が評価され、講座のテーマ決定も制作も、さらには講座の進行も一任いただきました。